テキサス州ヒューストン拠点 / 日本語でご相談いただけます+1-281-991-7726
GUIDE / PEOPLE & VISAS

米国進出の人の準備 出張・駐在のビザと現地採用の基本

米国進出の計画で後回しにされやすいのが「誰が、どの資格で米国で働くか」です。出張でできること・できないこと、駐在員の主なビザ、現地で人を雇うときの基本を、米国政府の公式情報をもとに整理します。

Pisco Group 編集 公開 2026.10.23

1. 出張(ESTA・B-1)でできること、できないこと

米国務省のビザ免除プログラム(VWP)のページによると、日本はVWPの対象国です。VWPを使うと、観光または商用で90日以内の滞在であれば、ビザなしで入国できます。ただし、渡航前に承認されたESTAが必要です。

渡航の目的は、B(訪問者)ビザで認められる範囲に限られます。商用の例として、国務省は次の活動を挙げています。

  • 取引先と打合せをする
  • 商業・専門分野の会議に出席する
  • 短期の研修を受ける(米国内の者から報酬を受けないこと。滞在費などの付随的な費用を除く)
  • 契約を交渉する

出張の資格で、米国で「働く(雇用される)」ことはできません。VWPでは雇用が認められる活動に含まれていません。また、VWPで入国した人は、米国内で滞在を延長したり、在留資格を変更したりできません。90日を超えて滞在する場合は、ビザが必要です。

据付・修理は出張でできるのか

日本の製造業にとって気になるのは、販売した機械の据付や修理のための出張です。米国務省の査証業務マニュアル(9 FAM 402.2-5(E)(1))は、米国外の会社から購入された商業用・産業用の機器や機械について、据付、保守、修理を行う人、またはそれを米国人の作業員に教える人に、B-1ビザが発給され得るとしています。ただし、次の条件があります。

  • 売買契約が、売り手にそのような役務や研修の提供を具体的に義務づけていること
  • その人が、売り手の契約上の義務の履行に不可欠な特有の知識を持っていること
  • 米国内の者から報酬を受けないこと

同じマニュアルは、建物や工事の作業(現場内・工場内を問わず)にはこの扱いを適用しないとしています。ただし、そうした作業を行う人を監督したり、教えたりする場合は別です。また、B-1の商用活動には、熟練・非熟練の労務の提供は原則として含まれず、米国で就労するつもりの人にはB-1は適切でないとされています。

投資を検討する段階の出張についても、マニュアル(9 FAM 402.2-5(C)(7))は、E-2の対象になり得る投資を検討する人がBビザを使うことはできるとする一方、Bビザの人は生産的な労務や事業の経営への積極的な関与はできないとしています。市場調査や契約交渉は出張で行い、現地で業務を執行する段階からは別の資格を考える、という整理になります。

実際の案件が上の条件に当てはまるかどうかは、契約の書き方や作業の内容で変わります。個別の可否は、必ず米国の移民法の弁護士に確認してください。

2. 駐在員の主なビザ:E(条約投資家・貿易)とL-1

米国で継続して働く駐在員のビザには、いくつかの種類があります。ここでは、日本の製造業の現地法人でよく検討されるEビザとL-1ビザを整理します。

米国務省の条約国の一覧によると、日本は、E-1(貿易)とE-2(投資)の対象となる条約国です(1953年10月30日発効)。以下では、E-2とL-1Aの主な違いを、USCISの説明にもとづいて比べます。

E-2(条約投資家)L-1A(企業内転勤者・管理職)
前提条約国(日本を含む)の国籍を持つ投資家が、米国の実在する事業に相当な額の資本を投資している、または投資しようとしていること。入国の目的は、その事業を発展させ、指揮することに限られる(50%以上の所有または運営上の支配で示す)。海外の関連会社で、入国前の3年のうち継続して1年間働いた経験があること(原則)。米国の雇用主が、その役員または管理職を米国に転勤させる。
会社の条件事業が「マージナル」でないこと(新しい事業は、5年以内に最低限を超える生計を生み出せる見込みが必要)。従業員が申請する場合、雇用主と同じ国籍であること。会社が雇用主なら、条約国の国籍の人が50%以上を所有していること。親会社・支店・子会社・関連会社のいずれかの関係があり、米国と、ほかに少なくとも1か国で事業を行っていること。米国に拠点がない外国企業が、新しい事務所を設立するために送る場合も対象。新事務所では、十分な物理的な事務所スペースを確保していること。
最初の滞在期間最長2年新事務所は最長1年、それ以外は3年
延長最長2年ずつ、回数の制限なし(在留資格の終了時に出国する意思を保つこと)2年ずつ、最長7年まで
家族(配偶者の就労)E-2の配偶者は、在留資格にもとづいて就労が認められるL-2Sの配偶者は、在留資格にもとづいて就労が認められる

E-2では、従業員として申請する人も、役員・監督者の役割を担うか、事業に不可欠な特別な資格を持っている必要があります。外国語や外国の文化に詳しいだけでは、これに当たらないとUSCISは説明しています。米国国外にいる場合のE-2ビザは、国務省(領事館)を通じて申請します。L-1Aでは、雇用主がForm I-129を提出します。

このほか、USCISには、専門知識を持つ企業内転勤者向けのL-1B、専門職向けのH-1Bの分類があります。要件や費用は変わることがあるため、USCISの最新のページで確認してください。

どの資格が使えるかは、日本側の会社の資本関係、米国法人の設立形態と投資額、本人の経歴で変わります。「E-2かL-1Aか」は、米国法人の設立の方法とも関係するため、弁護士と会計士に同時に相談するのが安全です。設立の基本は米国法人の設立と税務の基礎で整理しています。

3. 現地で人を雇うときの基本

駐在員だけで事業を回すことは難しいため、多くの企業は現地で人を採用します。採用にあたって、事前に知っておきたい点を挙げます。

Form I-9

USCISによると、米国の雇用主は、雇用するすべての人について、Form I-9(雇用資格確認書)を作成し、保管する必要があります。国籍にかかわらず対象です。

E-Verify

採用後の就労資格の確認には、E-Verifyというオンラインのシステムがあります(公式サイトで案内されています)。自社に義務があるかどうかや、使う場合の手順は、弁護士に確認してください。

最低賃金

米労働省(DOL)の州別の最低賃金のページによると、テキサス州の基本の最低賃金は1時間あたり7.25ドルで、テキサス州は連邦の最低賃金を参照する形を取っています。実際の給与は、職種や地域の相場で決めることになります。

雇用税

IRSによると、雇用主は、連邦所得税を源泉徴収し、社会保障税とメディケア税を源泉徴収して(雇用主負担分を含めて)納付し、FUTA(連邦失業税)を自社の資金から納める必要があります。また、Form 941、Form 940などの申告書を提出し、従業員にはForm W-2を交付します。給与計算を外部の会社に任せるかどうかも、早めに決めておくとよい点です。

ジェトロの「外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用(米国)」にも、この分野の整理があります。あわせてご覧ください。採用後の労務や評価など、進出後の人事の運営は米国子会社の駐在員が一人で抱えやすい5つの業務で取り上げています。

4. 人の準備を進める順番

  1. 米国で必要な役割を書き出す営業、技術、管理など、米国で必要になる業務を洗い出します。
  2. 出張で足りる業務と、駐在・現地採用が必要な業務を分ける商談や打合せは出張で足りる場合があります。継続して現地で業務を執行する役割は、別の資格や現地採用を考えます。
  3. 駐在員のビザを弁護士と検討するE-2かL-1Aかなど、会社の資本関係と本人の経歴に合う資格を、米国の移民法の弁護士と確認します。
  4. 現地採用の条件を決める給与、雇用税、Form I-9などの手続きを整理し、給与計算の進め方を決めます。
  5. 立ち上げ期は外部の力も使うすべてを自社の人員で始めず、現地の人材や外部のチームも組み合わせて考えます。

全体の流れは米国進出の進め方(製造業向けロードマップ)で、拠点の場所の選び方はテキサスでの拠点選びで扱っています。

5. Pisco Groupの場合

Pisco Groupは移民法の法律事務所ではなく、ビザの申請や法的な助言は行いません。ビザや雇用の法務は、米国の弁護士と連携して進めます。

そのうえで、立ち上げ期の人の負担を軽くする手段があります。グループ会社のFuji Industrial Servicesは、熟練作業員を現場に派遣しています。また、私たちのフィールドサービスのチームが、据付・試運転を担当します(据付・試運転・フィールドサービス)。このため、立ち上げの初期には、多くの人員を駐在させなくても進められる場合があります。ただし、これによってビザの要件が不要になるわけではありません。個別の扱いは、弁護士に確認する必要があります。

採用や人事の仕組みづくりについては、米国で製造業を経営する立場から、貴社の考え方を整理するお手伝いをします(現地法人の経営・運営支援)。進出全体の位置づけは米国進出の進め方をご覧ください。

出典・参考資料

本記事は2026年10月時点の公開情報をもとにした一般的な情報であり、法務・税務・移民に関する助言ではありません。制度や金額は変更されることがあります。具体的な判断は、米国の弁護士・会計士などの専門家と、各機関の最新情報でご確認ください。

よくあるご質問

ESTAで据付や修理の作業をしてもよいですか。

ESTA(ビザ免除プログラム)で認められるのは、B(訪問者)ビザで認められる範囲の活動に限られ、雇用は認められません。国務省のマニュアルは、米国外の会社から購入された機械の据付・修理などをB-1の対象として条件付きで挙げていますが、個別の可否は弁護士に確認してください。

駐在員にはどのビザが多く使われますか。

日本は条約国なので、E-2の対象になり得ます。また、海外の関連会社で1年以上勤務した管理職・役員(L-1A)や、専門知識を持つ人(L-1B)にはL-1があります。会社と本人の条件で選ぶことになるため、弁護士と一緒に検討してください。

現地で採用するときに必ず必要な書類はありますか。

米国の雇用主は、雇用するすべての人についてForm I-9(雇用資格確認書)を作成し、保管する必要があります(USCIS)。そのほかの手続きは、専門家に確認してください。

誰を、いつ、どの立場で米国に出すか。計画の段階からご相談ください。最初のご相談は無料です。

無料相談を申し込む