米国向け製品の規格・認証対応 UL(NRTL)、NEC、ASMEの基本
日本で実績のある機械でも、米国の現場では「認証マークがない」「電気工事の規定に合わない」という理由で使えないことがあります。米国の公的機関と規格団体の情報をもとに、進出前に確認しておきたい規格と認証の考え方を整理します。
Pisco Group 編集 公開 2026.10.23
米国では「誰が求めるか」で必要な規格が決まる
確認先を整理する考え方として、連邦の労働安全規則(OSHA)、州・自治体が採用する規定(電気のNECなど)、顧客の仕様書という層に分けてみてください。OSHAの電気規則と、NFPAが示すNECの役割は、以下でそれぞれ確認します。
最初に売り先の顧客と設置場所を決め、その顧客と自治体が何を求めるかを確認しましょう。「米国向け」という括りだけで設計を進めず、求める相手、規格名、確認先を整理することから始めます。
電気を使う製品:OSHAとNRTL認証(「UL」はその一つ)
OSHAの1910.303では、対象となる電気機器などに「承認」を求めています。適合性を示す方法としてリスティングやラベルを挙げ、これらの機器は表示された指示に従って設置・使用するよう定めています。
OSHAのNRTL制度は、電気安全規則に対応する製品認証を行う民間機関を認定する制度です。同制度の説明によると、各機関には認定された試験規格の範囲と認証マークがあり、製品の認証後に製造者へマークの使用を認めます。
「UL認証」は通称として使われますが、OSHAのNRTLリストにはUL LLCのほか、CSA、Intertek、日本の電気安全環境研究所(JET)なども含まれます。自社製品に該当する規格が、相談する機関の認定範囲に入るか確認してください。
OSHAの対象製品一覧は、特定の条件下でNRTLによる承認が必要となる区分を示しています。電気機器のほか、クラスI液体(引火性液体)の払い出しに使うポンプなども挙げられています。製品名だけで判断せず、用途も伝えて対象を確認しましょう。
据付と電気工事:NEC(NFPA 70)
NFPAは、NFPA 70(National Electrical Code、NEC)を、安全な電気設計・設置・検査の基準と説明しています。製品の認証を相談するときは、現場での配線や据付の確認も並行して進めてください。
採用している版や追加の規定は、設置場所の州・自治体で確認しましょう。顧客と据付担当者には、製品側と現場側でそれぞれ何を確認するか、事前にすり合わせることを勧めます。
圧力のかかる機器:ASMEボイラ・圧力容器規格(BPVC)と認証マーク
ASMEの説明によると、BPVC認証は製品ごとに取得するものではなく、製造者・組立者の品質管理体制に対する認証です。認証を受けた会社が製造し、ASME認証マークを付けた製品は、該当するBPVCに従ったものとされています。
ASMEが示す認証区分には、動力ボイラのS、圧力配管のPP、暖房用ボイラのH、圧力容器のU・U2、圧力容器用安全弁のUVなどがあります。「ASMEスタンプが必要」と言われたら、求められる区分と製造・組立の範囲を確認してください。
顧客の仕様書(スペック)を早めに入手する
石油・化学などのプラント顧客は、業界団体の規格や自社の仕様書で、材料、試験、書類、銘板の書き方まで指定することがあります。見積の前に仕様書を入手し、日本の設計・製造・検査の手順との差を洗い出しましょう。
進め方
- 売り先と設置場所を決める
- 該当しそうな規格・認証を、電気・圧力・顧客仕様から洗い出す
- OSHAのNRTLリストを参照し、認証機関やASMEなどの規格団体に相談する
- 設計・部品・書類の差を埋める
- 試験・審査を受ける
- 米国での組立・試験・据付の体制を決める
Pisco Groupの場合
Pisco Groupは認証機関・試験所ではありません。グループ会社PPSは、複数の日本メーカーの北米独占パートナーとして販売・サービスを担っています。米国で販売・サービス事業を運営する立場から、顧客が何を求めているかの確認をお手伝いします。
ヒューストンの自社工場での現地の組立・試験や、据付・試運転にも対応します。進出全体の準備は、米国進出の進め方もご覧ください。
出典・参考資料
- 電気機器の承認・設置・使用に関する規則(OSHA)
- NRTL制度と認証の範囲(OSHA)
- 認定されたNRTLの一覧(OSHA)
- NRTLによる承認が必要となる製品区分(OSHA)
- 米国電気規定NEC・NFPA 70の概要(NFPA)
- ボイラ・圧力容器の認証制度と認証区分(ASME)
本記事は2026年10月時点の公開情報をもとにした一般的な情報であり、法務・税務・移民に関する助言ではありません。制度や金額は変更されることがあります。具体的な判断は、米国の弁護士・会計士などの専門家と、各機関の最新情報でご確認ください。
よくあるご質問
ULの認証がないと米国で売れませんか
OSHAの電気規則では、対象となる職場の電気機器は「承認」されたものである必要があります。OSHAのNRTL制度による認証やリスティング・ラベルは、その代表的な方法です。対象かどうか、どの機関で取得するかは製品と用途に応じて確認してください。
日本の機関で米国向けの認証を受けられますか
OSHAのNRTLリストには、日本の電気安全環境研究所(JET)が含まれています。認証できる規格の範囲は機関ごとに異なるため、事前に確認してください。
ASMEの認証は製品ごとに取るのですか
ASMEの説明によると、BPVC認証は製造者・組立者の品質管理体制に対するものです。認証を受けた会社が、該当するBPVCに従って製造した製品にASMEの認証マークを付けます。
米国で売りたい製品と、想定している顧客・設置場所をお聞かせください。何を確認すべきか一緒に整理します。最初のご相談は無料です。
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